高齢者の転倒対応3ステップ!救急車・受診の目安をナースが解説

高齢者の転倒時の対応
高齢者の介護をする人
介護士

高齢者が転倒したときの適切な対応は?救急車を呼んだり、病院を受診したりする判断が難しい。

このような、介護士さんの悩みに応えます。

✔️本記事の内容

看護師Webライターレナ
レナ

という私は、療養病棟で勤務しており、看護師歴は9年目です。

高齢者の転倒対応は、今まで何度も経験しています。

この記事を読めば、もし高齢者が転倒した際に、適切な対応を判断できるようになるでしょう。

介護士さんが現場でそのまま実践できるよう、具体的な行動をお伝えしていきます。

ぜひ最後まで読み、実際の転倒対応にお役立てください。

高齢者の転倒対応3ステップ

高齢者が転倒した際は、以下の3ステップで対応します。

看護師Webライターレナ
レナ

これは、看護師である私も実際に行っている対応です。

上記の3ステップで対応すれば、緊急性の判断や、その後の処置を適切に進められます。

では、それぞれ順番にみていきましょう。

STEP1:声をかけて反応をみる

高齢者が転倒したら、まず最初に近寄って声をかけましょう。

声をかけたときの反応から、意識の状態を確認します。

高齢者の転倒で最も怖いのが頭部外傷です。頭を打つと意識状態に異変が出ることがあるため、最優先で確認します。

声をかけるときは、名前を呼んだり、肩を叩いたりしてみてください。

声をかけたときに観察すべきポイントは、以下のとおりです。

  • しっかり目が開くか
  • 眼球の向きは正常か
  • 声かけに返答はあるか
  • 名前や生年月日を言えるか
  • 呂律は回っているか

大切なのは「いつもと比べてどうか」という視点です。

例えば、認知症の高齢者が転倒した場合、名前や生年月日を正しく答えられなかったとしても、普段からそうであれば、意識は保たれていると考えられます。

このように、いつもの状態と比較して、意識に異常がないかを確認しましょう。

STEP2:ケガはないかを確認する

次に、骨折などのケガはないかを確認します。

ケガの状態によっては救急要請や早めの受診が必要となるため、意識の次に重要です。

以下の項目に沿って、全身をチェックしてみましょう。

  • 出血はないか(出血部位と量)
  • 明らかな骨の変形はないか
  • 歩けるか(元々歩ける場合)
  • 頭を打っていないか
  • 痛みや腫れはないか

腫れや変形がないかを観察するときは、左右を見比べるのがポイントです。

例えば、右腕と左腕、右足と左足、といったように、左右で腫れや形状の違いはないかをチェックしてみてください。

反対側(正常な部位)と比べることで、異常に気づきやすくなります。

STEP3:バイタルサインを測定する

意識の状態とケガの有無を確認したら、バイタルサインを測定しましょう。

バイタルサインは、見た目ではわからない体内の異常に気づくヒントです。

バイタルサインを測定したら、経過を把握できるように、時間と値をセットで記録してくださいね。

バイタルサイン
  • 体温
  • 脈拍数
  • 血圧
  • SpOٖ₂(酸素飽和度)

転倒直後は、痛みや驚きで心臓がドキドキして、脈拍数や血圧が普段より高いことも多いです。

「大量に出血している」「意識を失っている」などの緊急事態でなければ、少し安静にしてから測定してみても良いでしょう。

高齢者の転倒で「救急車」を呼ぶケース

高齢者が転倒したとき、以下の項目に当てはまる場合は緊急性が高いため、すぐに救急車を呼びましょう。

  • 意識を失っている
  • 呼吸が止まっている
  • けいれんを起こしている
  • 激しく嘔吐している
  • 大量に出血している
  • 骨や肉が飛び出ている
  • 痛みが強くて歩けない

とくに頭を打った場合は、頭蓋内で出血しているリスクがあり危険です。

上記項目のほか、呂律不良や手足の脱力がないかも合わせて観察しましょう。

転倒直後は元気でも、数時間〜数日後に症状が出ることもあるため、しばらくは注意が必要です。

また、大量に出血している場合は、血圧が低下して出血性ショックを起こす可能性があります。

・床に広がるくらい出血している
・タオルで圧迫しても出血が止まらない
・顔色が悪くて冷や汗をかいている
・血圧が低下して脈が早くなっている

このような状態がみられたら、ためらわずに救急車を呼んでください。

その後の対応は、救急隊が指示してくれます。

高齢者の転倒で「病院」に行くケース

高齢者が転倒したとき、以下の項目に当てはまる場合は、早めに病院を受診してください。

  • 転倒時に頭を打った
  • 痛み・腫れ・熱感がある
  • 歩けるけど手足や腰が痛い
  • 手足に痺れや感覚の鈍さがある
  • 深めの切り傷がある

転倒時に頭を打った場合は、症状がなくても受診しましょう。

元気そうに見えても、頭の中で出血が進行していることがあるからです。

看護師Webライターレナ
レナ

とくに、血液がサラサラになる薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいる高齢者は、通常より出血しやすいので、注意が必要です。

また、いつも通り歩行できたとしても、痛み・腫れ・熱感がある場合は、骨折している可能性があります。

そのため、病院で検査を受けて、骨や神経に異常がないかをみてもらいましょう。

病院を受診する際は、転倒後に測定したバイタルの記録を持参すると、診察の参考になります。

ちなみに、何科を受診すればいいのか迷った場合は、後半のQ&Aをチェックしてみてください。

高齢者の転倒で「様子をみる」ケース

高齢者が転倒したとき、施設で様子をみても良いと考えられるケースは、以下のとおりです。

  • 頭を打っていない
  • いつも通り歩行できる
  • 痛み・腫れ・熱感がない

とくに大きなケガや症状がなく、上記3つをクリアしている場合は、ひとまず様子をみても良いと考えられます。

とはいえ、後から遅れて症状が出てくることもあるため、油断はできません。

転倒してから数日間はバイタルサインを測定し、歩き方や痛みの有無、意識状態の変化に注意して観察を続けましょう。

高齢者の転倒で起こりやすいケガ・病気

高齢者の転倒で起こる代表的なケガ・病気は、以下の4つです。

それぞれの特徴や症状に着目しながら、解説してきます。

硬膜下血腫

硬膜下血腫とは、脳を包んでいる「硬膜」という膜の内側で出血する頭の病気です。

出血が続くと頭のなかで血腫が作られ、脳が圧迫されるため、重篤な意識障害や麻痺につながります。

硬膜下血腫の主な症状は以下のとおりです。

  • 意識がもうろうとする
  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛
  • 呂律不良
  • 手足のしびれ
  • 片側の手足の脱力(麻痺)

硬膜下血腫は、転倒直後に症状が出る場合もあれば、転倒して数日〜数週間後に症状が出る場合もあります。

そのため、転倒直後に症状がなくても、しばらくは注意して様子をみていきましょう。

大腿骨骨折

大腿骨骨折とは、太ももの骨が折れるケガです。

なかでも、大腿骨頸部(太ももと股関節のつなぎめ)や、大腿骨転子部(股関節の外側の突出した骨)を骨折するケースが多くみられます。

そのため、太ももというよりは、股関節のまわりに症状が出るのが特徴です。

大腿骨骨折では、以下のような症状がみられます。

  • 股関節まわりの痛み・腫れ
  • 立てない・歩けない
  • 足を動かそうとすると痛みが強くなる
  • 骨折した方の足が短く見える
  • 骨折した方の足のつま先が外側を向いている

大腿骨を骨折したら、多くの場合は痛みが強くて歩けません。え

無理に動かそうとせず、119番に通報して救急隊の指示に従いましょう。

橈骨遠位端骨折

橈骨遠位端骨折とは、前腕(肘から手首まで)の骨が、手首に近い部分で折れるケガを指します。

高齢者が転倒して手をついたときに、衝撃が加わって折れるパターンが多いです。

橈骨遠位端骨折の症状をまとめると、以下のようになります。

  • 手首の痛み・腫れがある
  • 手首が変形している
  • 手首を動かしにくい
  • 握ると痛くて物をつかみにくい
  • 手をついて体重をかけられない
看護師Webライターレナ
レナ

日常生活で例えると、立ち上がるときに手をついて痛がる場合は、骨折のサインかもしれません。

転倒直後はあまり腫れていなくても、数日後にボッコリ腫れていることがあります。

そのため、高齢者が転倒して手をついた際は、しばらく手首の状態に注意して観察しましょう。

脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折とは、背骨(脊椎)がつぶれるように折れる骨折をいいます。

高齢者では、転倒して尻もちをついたときに、折れることが多いです。

脊椎圧迫骨折になると、以下のような症状がみられます。

  • 腰や背中に強い痛みがある
  • 立ち上がれない・歩けない
  • 寝返りをすると痛い
  • 体をひねると痛みが強くなる
看護師Webライターレナ
レナ

尻もちをついて動けなくなり、そのまま救急搬送・入院となる高齢者を何人も見てきました。

お尻をつくような形で転倒し、痛みが強くて立ち上がれないときは、脊椎圧迫骨折かもしれません。

無理に起き上がらせようとせず、救急車を呼びましょう。

高齢者の転倒に関するQ&A

ここからは、高齢者の転倒に関するよくある疑問にお答えしていきます。

気になる項目があったら、ぜひチェックしてみてくださいね。

では、順番に回答していきます。

高齢者が転倒したら、その場から動かさない方がいい?

高齢者が転倒したら、必ずしも動かしてはいけないとは限りません。

転倒しても自力で起き上がれる場合は、少しずつ動いてみてもOKです。

看護師Webライターレナ
レナ

ゆっくり起き上がってもらい、普段どおりに歩けているかを観察してみてくださいね。

ただ、痛みが強くて起き上がれない場合は、無理に動かさないほうが良いでしょう。

もし骨折していたら、身体を動かすと悪化する恐れがあります。

歩けないほど痛がっている場合は、救急車を呼んで、様子を見守りながら待機してください。

高齢者の転倒は何科を受診するべき?

高齢者が転倒したときに何科を受診するのかは、基本的に「どこをぶつけたか」で判断します。

高齢者の転倒でよくある受診のパターンを以下にまとめたので、参考にしてください。

  • 頭をぶつけた→脳外科
  • 手やお尻をついた→整形外科
  • 出血して止まらない→救急外来

このように、転倒したときにぶつけた部位によって、何科を受診するのか判断します。

出血などすぐに対応が必要な場合や、どこを受診したらいいか迷った場合は、救急外来に行きましょう。

転倒しても症状がなければ受診は不要?

基本的には、症状がなければ受診しなくても良いと考えられます。

ただ、転倒直後に症状がなくても、数時間〜数日後に遅れて発症する可能性があるため、経過観察は必要です。

また、頭を打った場合は症状がなくても必ず受診してください。

元気そうに見えても、頭の中でじわじわ出血が進み、重篤な意識障害や麻痺を引き起こす可能性があります。

念のために脳外科で検査を受け、異常がないことを確認しておきましょう。

高齢者の転倒は冷静に対応すれば怖くない

本記事では、高齢者が転倒したときの対応について解説してきました。

もし高齢者が転倒したら、以下の3ステップで対応しましょう。

意識の状態がおかしい場合や、痛みでその場から動けない場合は、迷わず救急車を呼んでくださいね。

看護師Webライターレナ
レナ

もし救急車を呼ぶか迷ったら、#7119に連絡すると、専門のスタッフが指示をくれます。

何よりも大切なのは、冷静になることです。

転倒した瞬間は焦るかもしれませんが、落ち着いて対応すれば問題ありません。

まずは3ステップに沿って状態を確認し、本記事で解説した「救急要請」「病院受診」の目安を参考に、冷静に判断していきましょう。