このような疑問に応えるため、本記事では以下を解説しています。
✔️本記事の内容

という私は、看護師歴9年目、高齢者が入院する療養病棟で勤務しています。
実は、高齢者の誤嚥性肺炎は気づきにくいケースがあり、知らぬ間に悪化していることも少なくありません。
この記事を読めば、いち早く誤嚥性肺炎に気づき、重症化する前に対処できるでしょう。
自宅でできる予防法もお伝えしているので、ぜひお試しください。
目次
誤嚥性肺炎ってどんな病気?
誤嚥性肺炎とは、食べものや唾液などを飲み込んだときに誤って気管に入り、肺が炎症を起こす病気です。
通常、食べものを飲み込むと、食道を通って胃に入ります。
ですが、高齢者は「飲み込む力」が弱っているため、食道と気管の分岐をうまく通過できず、気管に入りやすくなっているのです。
また、通常は食べ物が気管に入ると、反射的に咳が出て、外に出そうとします。
ですが、高齢者は反射が鈍っていて咳が出せず、食べ物がそのまま肺に到達してしまうため、肺炎になりやすいのです。

実は、食べものが気管に入っていても、全く咳が出ない高齢者もいます。それが、誤嚥性肺炎に気付きにくい理由のひとつです。
高齢者の誤嚥性肺炎の初期症状【見逃しやすいポイント5つ】
高齢者の誤嚥性肺炎でよくみられる初期症状は、以下の5つです。
どれも誤嚥性肺炎でよくある初期症状ですが、一般家庭では気づきにくいと思います。
ご両親や祖父母が「誤嚥性肺炎かも?」と悩んでいる方は、ぜひ普段の様子を思い出しながら、読んでみてください。
そして、当てはまると感じたら、早めに病院を受診してくださいね。
※上記の症状があれば、必ず誤嚥性肺炎というわけではありません。あくまで可能性の話なので、気になる場合は病院で検査を受けましょう。
①微熱が続いている
理由はわからないけど、なぜか微熱が続いている場合は、誤嚥性肺炎のサインかもしれません。
誤嚥性肺炎は、肺で炎症が起きている状態なので、38度以上の高熱が出ることが多いです。
ですが、そこまで熱は上がらず、地味に微熱が続くこともあります。
高熱が出ていればすぐ病院に行くかもしれませんが、微熱の場合は様子をみる方も多いでしょう。
そのため、気づいたときには重症化してしまい、入院が必要となるのです。

さらに、高齢者は熱があっても自覚できない場合があるので、家族が気づいてあげられるのは非常に重要です。
そこで、早く異変に気づくためにおすすめなのが、毎日の体温測定です。
毎日熱を測っていれば、微熱が続いたときに気づけます。
測った体温はノートに記録しておくと、変化がわかりやすいです。
また、何かあって病院を受診する際にノートを持参すると、診察の参考になるでしょう。
②いつもより元気がない
なんとなく「最近元気がないな」と感じるときは、誤嚥性肺炎で体調が悪いのかもしれません。
なぜなら、高齢者は体調不良をうまく伝えられないことがあるからです。

入院患者さんでも、なんとなく元気ないな〜と思っていたら、肺炎を起こしていたパターンを何度もみたことがあります。
例えば、次のような姿がみられるときは、注意が必要です。
- 声をかけてもぼーっとしている
- 返事はあるけど声にハリがない
- いつもより活動量が減っている
高齢者は、はっきりした症状が出ないことも少なくありません。
いつも近くにいる家族が「なんかおかしい」と感じるのであれば、念のために受診しておいた方が安心です。
③咳や痰が出るようになった
咳が出たり痰が絡んだりし始めたら、誤嚥性肺炎の初期症状かもしれません。
誤嚥性肺炎になると、悪い菌を体の外へ出そうとして、咳や痰が増えるからです。

喘息のときに出る「コンコン」という乾いた咳と違い、誤嚥性肺炎では痰が絡んだような「ゴロゴロ」した咳が出ます。
ちょっとした風邪かな?と思うかもしれませんが、放置するのは危険です。
いつもより咳や痰が増えていると感じたら、病院で検査を受けてくださいね。
④食事のときにむせている
高齢者が誤嚥性肺炎になるときの初期症状として、食事のむせがあります。
食事をむせるということは、飲み込む力が弱っているサインなので、これから誤嚥性肺炎を発症するかもしれません。

時々むせるくらならまだ良いですが、食事のたびに毎回むせている場合は赤信号です。
「以前よりむせる回数が増えた」と感じる場合は、一度病院で相談してみましょう。
⑤なんとなく呼吸が苦しそう
高齢者がつらそうに呼吸をしている場合は、誤嚥性肺炎の初期症状かもしれません。
肺が炎症を起こしていると、呼吸をするのも一苦労だからです。
具体的には、以下のような症状がないかを見てみましょう。
- 呼吸の回数が多い
- 息切れしている
- 1回の呼吸が浅くて短い
高齢者の場合、呼吸が苦しくてもその状態に慣れてしまい、息苦しさを感じにくくなっている場合があります。
そのため、本人が「大丈夫」と言っていても、家族が異変を感じているなら注意が必要です。
そのまま様子を見るのではなく、早めに病院で検査を受けましょう。
高齢者の誤嚥性肺炎で受診すべきケース5つ
以下のような症状がある場合は、誤嚥性肺炎の可能性があるので、早めに病院を受診しましょう。
状態によっては、入院になる可能性もあります。
高齢者の場合、ただの風邪では済まないことがあるため、注意が必要です。
では、それぞれ順番に解説してきます。
①38度以上の発熱がある
高齢者が38度以上の発熱をしている場合、誤嚥性肺炎が疑われるかもしれません。
発熱は、体の中で炎症が起きているサインです。
発熱と一緒に食事のむせや咳がみられる場合は、さらに可能性が高まります。
重症化すると呼吸状態が悪化し、命に関わることもあるため、早めに受診しましょう。
②痰が絡んで苦しそう
痰が絡んで苦しそうにしている場合、誤嚥性肺炎の可能性があるため、早めの受診が必要です。
肺が炎症を起こすと、菌を絡め取って外に出しやすくするために、痰が作られます。
そのため、気管に痰が溜まり、息苦しくなることがあるのです。

よく病院では、そのような患者さんを「痰で溺れている」と表現します。
これは、呼吸状態が悪化している兆候です。
喉がゴロゴロして痰が絡み、苦しそうにしている場合は、できるだけ早めに病院へ行きましょう。
③意識がぼんやりしている
なんとなく反応が鈍くてぼーっとしていると感じたら、一度受診してみましょう。
高齢者が誤嚥性肺炎になると、いつもより口数が減ったり、返事が遅くなったりする場合があるからです。

なんだか元気がなくて反応が鈍いと思ったら、熱があり、誤嚥性肺炎になっていたというパターンが時々あります。
意識がぼんやりするのは、誤嚥性肺炎だけとは限りません。
脱水や脳の病気でも、反応が鈍くあることがあります。
年齢のせいだからと見過ごさず、早めに病院でみてもらいましょう。
④食事を食べられなくなった
食事量が減っているときは、誤嚥性肺炎の影響で食べるのが難しくなっている可能性があります。
一度病院を受診し、肺炎の有無や、飲み込みの状態をみてもらいましょう。
例えば、食事をとれなくなっている高齢者では、次のような状態になりやすいです。
- 1日1〜2食で済ませている
- 数口食べて食事を終えている
- 食事に時間がかかりすぎている
場合によっては、飲み込む力を落とさないためのリハビリや、負担なく食事をとるためのアドバイスなどを受けられます。
食事量が減ると体力も落ちやすくなるため、早めに相談することが大切です。
⑤呼吸が苦しそうで顔色も悪い
高齢者が苦しそうに呼吸をしていて、顔色も悪い場合は、すぐに病院を受診しましょう。
誤嚥性肺炎により、呼吸状態が悪化しているかもしれません。

例えば、肩で大きく息をしていたり、口を開けて一生懸命息を吸っていたりする場合が当てはまります。
また、明らかに顔色が悪くて青白くなっているときは、緊急で処置が必要な状態かもしれません。
息苦しさや顔色の悪さに加えて、反応の鈍さや発熱がある場合は、救急車を呼んでも良いでしょう。
もし対応に迷ったら、#7119に電話すると、専門のスタッフが適切な指示をくれるので、相談して見てください。
今すぐできる!高齢者の誤嚥性肺炎の予防策法5つ
ここからは、自宅でできる誤嚥性肺炎の予防について、お伝えしていきます。
高齢者の誤嚥性肺炎を予防するには、以下の5つを心がけましょう。
どれも日常で取り入れやすいコツになっているので、ぜひやってみください。
では、順番にみていきましょう。
①食事の前に口腔体操をする
食事の前に口腔体操をすると、誤嚥性肺炎の予防につながります。
口腔体操には、唾液の分泌を促したり、飲み込みをスムーズにしたりする効果あるからです。
例えば、厚労省で紹介されている「かみかみ体操」「ゴクゴク体操」がおすすめです。
自宅で気軽にできるので、食事前の準備運動として、ぜひ取り入れてみてください。
②適切な姿勢で食事をする
誤嚥性肺炎を予防するには、適切な姿勢で食事をしましょう。
食事の際の姿勢によっては、食べものが気管に入りやすくなるからです。
具体的には、以下の点に注意して姿勢を整えてみてください。
- 椅子に深く腰かける
- 足のうらを床につける
- 体が傾く場合はクッションを入れる
- 食器やテーブルの位置を調整する
- 食後はすぐに横にならない
食事中は、姿勢が崩れないように安定させるのがポイントです。
また、高齢者の場合、食後にすぐ横になると、食べたものが逆流して気管に入るリスクがあります。
そのため、食後はしばらく体を起こして過ごしましょう。
毎日の食事の際に、ぜひ心がけてみてください。
③一口に食べる量を少なくする
食事をするときに、一口の量を少なめにすると、誤嚥性肺炎の予防につながります。
無理なく飲み込める量に調整することで、気管に入り込むリスクを下げられるからです。

たとえば病院では、「スプーンの半分」などと一口量の目安を決めて、食事介助をすることがあります。
このように、一口で食べる量を決めておくと、入れ過ぎを防ぎ、安全に食べられるのでおすすめです。
④食事の後は口腔ケアをする
誤嚥性肺炎を予防するには、食後の口腔ケアが重要です。
食後に口腔ケアをすると、口の中の細菌が減り、誤嚥性肺炎の予防につながります。
具体的なケアの内容は、以下のとおりです。
- 歯磨きやうがいをする
- 入れ歯を水ですすぎ洗いする
- 舌ブラシでやさしく汚れを落とす
また、口腔ケアをしたら、口の中に食べものが残っていないかチェックしてみてください。
高齢者は口周りの筋力や舌の動きが低下しているため、うがいをしても口の中に食べものが残りやすい場合があります。
食後は口腔ケアで口の中を清潔に保ち、誤嚥性肺炎を予防しましょう。
⑤入れ歯が合わない場合は調整する
合わない入れ歯を使っている場合は、歯科で調整してもらいましょう。
なぜなら、うまく食べものを噛めなかったり、飲み込みづらくなったりして、誤嚥性肺炎のリスクを高めるからです。

すぐに歯科を受診できない場合は、応急処置として入れ歯安定剤を使う方法もあります。
合わない入れ歯を使い続けるのは、誤嚥性肺炎の原因になりかねません。
早いうちに歯科で調整してもらいましょう。
高齢者の誤嚥性肺炎に関するよくあるQ&A
高齢者の誤嚥性肺炎に関して、よくある疑問にお答えしていきます。
それぞれ順番に解説していくので、気になる方はチェックしてみてください。
高齢者の誤嚥性肺炎を放置したらどうなる?
高齢者の誤嚥性肺炎を放置すると、呼吸状態が悪化し、場合によっては命に関わります。
自宅で様子を見るケースもありますが、高齢者の場合は重症化しやすいため注意が必要です。
もし「誤嚥性肺炎かも?」と思ったら、早めに病院へ行きましょう。
高齢者は誤嚥性肺炎を繰り返すって本当?
人によっては、誤嚥性肺炎を繰り返しやすい場合もあります。
なぜなら、誤嚥性肺炎が治っても、飲み込む力が弱っていれば、再び肺炎を起こす可能性があるからです。

誤嚥性肺炎で入院する場合は絶食になることが多いですが、食事を再開した途端に熱が出ることも少なくありません。
そのため、誤嚥性肺炎が治った後も、食事のむせや体調の変化に注意していきましょう。
「誤嚥」と「むせる」の違いは?
誤嚥:食べものや唾液が誤って気管に入り込むこと。
むせる:誤嚥した際に咳をして外に異物を出そうとする反応。
人は誤嚥すると、反射的に咳が出てむせるのが通常です。
ですが、高齢者は反射が鈍っている場合があり、誤嚥してもむせない人がいます。

静かに誤嚥しているので、このパターンは気づくのが難しいです。
誤嚥性肺炎を見逃さないためには、食事のむせだけでなく、咳や痰などの症状も合わせて観察することが大切です。
高齢者の「いつもと違う」は誤嚥性肺炎のサインかも
本記事では、高齢者の誤嚥性肺炎の初期症状について解説してきました。
高齢者の誤嚥性肺炎でみられる初期症状をおさらいすると、以下の5つです。
よくわからないけど「いつもと違う」という家族の感覚は、意外と当たっているかもしれません。

病棟でも、なんか様子が変だなと思っていたら、急変する患者さんが時々います。
家族の勘は、意外と当たっているかもしれません。
様子がおかしいと感じたら、早めに病院で検査を受けましょう。







高齢者が誤嚥性肺炎になったときの初期症状は?病院に行った方がいいのか悩む。